原油安で倒産危機のシェール企業は、前門の虎後門の狼状態

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シェール企業の倒産が心配される

新型コロナ危機の影響で原油価格の低迷が続く中、1兆円を超す負債を抱えたアメリカの先駆的シェール企業が経営破綻の瀬戸際に追い込まれている。その企業の名は、チェサピーク・エナジー。

(中略)

連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを含めた債務再編策をアドバイザーと協議していることを明らかにした。「このまま原油と天然ガス価格の低迷が続けば、2020年第4四半期にはデフォルト(債務不履行)となる可能性がある」と報告書で述べている。

原油暴落で窮地に立つ米シェール企業の耐久力

4月上旬には米で初めてシェール企業「ホワイティング・ペトロリウム」の破産がニュースになりましたが、続いて「チェサピーク・エナジー」の破産検討の記事が出てきてしまいました。

米シェール企業は石油採算基準が4~50ドルと言われているため、現在原油価格では採算が取れません。

5月15日時点での原油先物価格

現在原油価格は約30ドル付近まで戻してきました、一時期マイナス40ドルだったのが嘘みたいですね。

4月3日まで原油価格を戻してきましたね、その前だと3月16日に同じような価格をマークしています。

原油株の価格と比較すると、XOM,CVXは現在が最も高いのですが、RDS.BとBPは下がってしまっています。

【原油価格30ドルの時の株価】

XOM:3/16(34ドル)、4/3(39ドル)、5/15(42ドル)

CVX:3/16(69.52ドル)、4/3(75ドル)、5/15(89.16ドル)

RDS.B:3/16(23.6ドル)、4/3(34.32ドル)、5/15(28.6ドル)

BP:3/16(18.6ドル)、4/3(24.7ドル)、5/15(21.82ドル)

 

これらを見ると、日を追って上昇しているのがXOMとCVXなのに対して、RDS.BとBPはは現在の方が価格が低いですね。

おそらくロイヤル・ダッチ・シェルは配当66%減、BPは債務の健全性への不安から戻りが遅いのだと思います。

一方XOMは債務の健全性への安心、CVXは収益力から資金が集まり株が高くなりやすくなったという所でしょうか。

正直、今の相場は株価と原油価格って連動しない感じがしますけどね。

 

今回倒産検討しているチェサ―ピーク・エナジーの株価推移はこの様になっています。

Oh……。

しばらくはFRBが買い支えする形になるだろう

中央銀行が再び生まれ変わった。ジェローム・パウエル米連邦準備制度(FRB)議長は中小企業などに2兆3000億ドル(約250兆円)を供給することを9日(現地時間)、決定した。

ジェローム・パウエルFRB議長がジャンクボンド(低格付け債券)まで買い入れる決断を下した。

(中略)

FRBが買い取る資産には、シェール会社に貸付けた融資のCLOも含まれる。

FRB、シェール会社救済に乗り出す…原油戦争に参戦?

FRBがジャンク債まで買い入れするという発表がありました。

これにより、間接的にですが資金繰りに苦しむシェール企業が新たに資金調達ができるようになりました。

しばらくはFRBの買い支えがありますが、それも限界があるでしょう。

原油価格が今のような30ドル以下のままであれば、採算が取れないままのため破産します。

最低採算ラインの40ドルまであと10ドルですが、私は来年には40~50ドルに戻っているのではないかと考えており、かつ倒産は思いの外少ないんじゃないかなと思っています。

理由としては

①来年には経済再開が本格的に戻っているであろう事

②FRBの買い入れが足りなければ資金追加供給を行うと思われる

③シェール企業はトランプ大統領の支持基盤の一つである

という点にあります。

勿論コロナがいつまで続くかという点は心配ですが、経済再開は確実に行われていきます。コロナ以上に経済停止で人が死ぬというのは明らかですからね。

また、FRBのジャンク債買い入れというのはリーマン・ショック級の金融危機を防止する目的とともに、シェール企業のような資金繰りができない企業への間接的資金提供をする目的があります。

これが達成できない状況であれば、限界はあるにせよ金融緩和としての債券買い入れ等をしなければ意味がありません。

また、シェール企業はトランプ大統領の支持基盤の重要な支持基盤であることを考えれば、何らかしかの政府からの救済の対象になるのではないかと考えています。

前門の虎、後門の狼状態であると見る

したがって、経済再開まではシェール企業は耐えてしまうのではないかと考えます。

しかしシェール企業が生き残るということは産油量が減らないことを意味しますから、供給過多による原油価格の低下圧力が残りますので、あまりいいことだとは思いません。

結果原油価格が戻るまでには時間がかかり、経済再開後も40ドルまで戻らないという可能性が十分にあります。

すると

1 原油価格が戻らず、数年以内に倒産する企業が大量に出る

2 一時的に原油価格が戻り数年は生き残ったところでシェール企業群が生き残れば供給過多による原油安圧力が高まり再び原油安となり、債務超過状態のシェール企業は結局倒産する

という2つのシナリオが想定できます。

長期の原油安であれば、それに耐えうるのはスーパーメジャーでも無い限り無理ではないかと思います。

仮にシェール企業の株を保有する場合は「シェール企業たちが数年生き残った上、来年以降原油価格が40ドル以上を安定的に推移する」というシナリオに賭ける必要があります。

※個人的にはなんだかんだ来年には経済再開し原油価格40ドル以上になってると思います。ただ、産油国が堪え切れずお漏らし(増産)しちゃうリスクとか諸々あるのは想定して動かなければなりませんね。

エネルギー株の財務の安定性は要チェックです

私はエネルギー株の財務の安定性のうち、他の銘柄でも見ていますがDERとCRで安定性をみるべきかなと思っています。

個人的には資金繰りという意味ではCR(流動比率)を重視したいのですが、ジャンク債に投資できないという投資家が多いため、S&Pが重視するDERも同じく重要だと思います。

さて、今回倒産リスクが浮上したチェサピークエナジーの2019年は

CR:0.523

DER:2.1491

でした。

※米国企業においてはCRは1以上で安定、DERは0.9以下で安定と私は見ています。

エネルギー会社は資本が多く財務が安定している会社が多いため、この数字はぶっちゃけ絶望的な数字だと思います。

なお、2020年Q1の数字で見ればスーパーメジャーではCVX>XOM>RDS.B>BPという安定度でした。 BPは原油流出事故で債務が多いですがそれでもDERは0.8と安定的。 

私の結論としては、シェール企業が生き残る可能性は無いとは言わないが、生き残ったらそれはそれで原油安となるため、エネルギー株に投資するならせめて体力のあるスーパーメジャーにしたほうがいい、というものになります。

 

それではまた次回お会いしましょう。

 

※関連記事です

トランプ大統領は原油価格安定のために、合意に持ち込んだ動きを見せました。支持基盤獲得に躍起になっている今、さらなる原油価格上昇への動きを見せるかもしれませんね。

減産合意後も原油価格が止まらず、先物は一時マイナス域に達しました。その後、減産が確認されたことと、貯蔵量に余裕ができた事から原油価格は現在戻しています。

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コメント

  1. あおば より:

    こんにちは。
    僕も同じ事考えてました。

    原油価格は上がる一方で、株価が下がるのはなんでだろうと…

    rdsbは株主還元に力を入れるようなスタンスではあったけど、配当が元に戻るまではしばらくかかりそうですね。僕は我慢して持ち続けたいと思います。

    • やめたい夫 より:

      あおば 様
      コメントありがとうございます!

      2019年DER基準で見ると、CVX:0.185、XOM:0.239、RDS.B:0.5、BP:0.769という感じなんですよね。
      シェルとBPは債務懸念からどうしても株価の上がり方が弱いですよね。
      私も配当が元の水準になるのは相当時間がかかると思います、石油会社各社増配には慎重的にならざるを得ないでしょうからね。
      コメントありがとうございました!