マイナス金利と金融株の関連性-深堀りしても銀行は儲かるか-

検討

【ポイント】

・マイナス金利深堀りでも儲かるという記事が出た。

・日銀は政策金利の現状維持を決定し、深堀りの余地は残した。金融株はそれを受けて上昇した。

・確かにマイナス金利の影響緩和、銀行が儲かる方法はある

・しかし、銀行はコストカットや新たなビジネスを求められるだろう

→今現在それを見越した割安状態だが、先行きは不透明。

マイナス金利深堀りでも、銀行は儲かるという記事

先日、このような記事を見かけました。

10月1日の消費税引き上げは日本政府にとっても最重要課題なので株価の下落は都合が悪い。この点で、金融政策として銀行に収益源を与えないと、経済政策の大計が崩れてしまう。その方法には3種あると考えている。
 (1)当座預金プラス金利の拡大
 (2)長短金利のイールドカーブのスティープ化
 (3)口座維持手数料の導入
 これら3つの手法は、銀行の費用をカバーする収益源でみると、(1)プラス金利の拡大は日本銀行から、(2)イールドカーブのスティープ化の場合は金融市場から、(3)口座維持手数料は顧客から、ということになる。

日銀がさらなる「金利深堀り」をしても銀行収益が上がる理由

本当は結構文字数があるのですが、一部抜粋という形で紹介させてもらいます。

この記事の最後は以下のように締められています。

今回の日本銀行の金融政策でマイナス金利の深堀りをした場合、一時的に銀行株は売られようが、実質的には記したように、銀行の収益は増大する。金融市場も、思い込みでなく、正しい知識に基づいて反応して頂きたいと希望する。

マイナス金利で収益が拡大するというのは、全く納得ができませんでしたので個人的に検討したいと思います。

2019年9月の政策金利は現状維持

日本銀行は19日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる政策運営方針の維持を賛成多数で決めた。海外経済減速で物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれる可能性に一段と注意が必要とし、10月30、31日の次回会合で経済・物価動向を再点検する方針を示した。

日銀、金融政策据え置きー次回会合で経済物価動向を再点検

日銀は現在-0.1%の政策金利を導入しています。

他にもユーロ圏も導入してたり、ヨーロッパ各国もマイナス金利状態です。

本来債券市場としてはありえない状態なのですが(誰も債権買わないから)、修正される見通しはありません。

経済刺激政策として採用したマイナス金利政策でしたが、現在更に経済刺激をしたいが、金利を下げることも上げることも出来ない状態が続いています。

日銀は10月の増税を踏まえ、米中貿易戦争の行く末次第ではマイナス金利を深堀りすることを検討しています。

米国長期債権金利上昇で、9月12日は金融株上昇

175円で掴んだ、みずほFG株ですが、一時期154円をマークしていたのですが現在170.1円まで上昇しました。

みずほFG
三菱UFJ
三井住友フィナンシャルグループ

米国の長期債権金利の話ですので、直接日銀の話には関係しません。

しかし、メガバンクや保険屋などは、潤沢な資産を国債などの金利で利益を生み出している構造があるからこそ、この様に反応するのです。

今回の日銀の政策金利維持は市場からは織り込み済みであったため、さほど影響は生じないのではないでしょうか

とにかく、政策金利と金融株はかなり影響があることが分かります。

2020年春頃までのマイナス金利維持

「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」とした政策金利のフォワードガイダンス(指針)にも変更はなかった。

日銀、金融政策据え置きー次回会合で経済物価動向を再点検

従前の方針からの変更はありませんでした。

今後もマイナス金利の恒常化は見込まれております。

日本の好景気が続けばよいのですが、残念ながら人口構造的に経済が停滞することは避けようがありません。

これを金融政策で動かすのは無理なので、今後もマイナス金利なんだろうなぁ、とぼんやり考えています。

現在日本で行っている人口減少による経済停滞対策としては、

①外国人旅行者増加による外貨取得

②外国人労働者受け入れ政策(笑)

などがありますが、これで日本株に期待しろというのは、ちょっと無理があります。

マイナス金利でも銀行は儲かるのか?

マイナス金利でも儲かるという記事の主張を検討します。

【 当座預金プラス金利の拡大や法定準備金拡大】

三井住友アセットマネジメントより

マイナス金利は一律全てに課せられているわけでは有りません、三階層化されています。

基礎残高は金利が0.1%ついていますし、マクロ加算残高部分にはゼロ金利です。

つまり、銀行が日銀に預けるお金の内、一定数を超えた部分にしかマイナスはかからないということです。

一般的にこの基礎残高が、市中銀行の預けるお金の大半であるので、そもそもマイナス金利が拡大しても、そこまで影響がないと言われています。

また、法定準備率を拡大することで、マイナス金利による銀行の消耗を抑えることが出来るので、日銀はマイナス金利深堀りをしたとしても、銀行への影響を緩和できるというわけです。

この点は恐らく日銀は必ず行ってくると思います。

ただし、これは収益が増えるのではなく、マイナスの効果を緩和するに過ぎません。

銀行が収益を上げるという主張の根拠にはならないと考えます。

【短長債権金利イールドカーブのスティープ化(鋭角化)】

銀行が儲けるのなら、一つは国債です。

国債のイールドカーブを短期国債金利を下げ、長期国債金利を金融機関の為に上げることをスティープ化と言います。

記事の主張では、短期国債を下げることでスティープ化となり、銀行は儲かるという話です。

2019年9月20日の日本国債の金利一覧です。

現在20年国債、30年国債の利回りがかろうじてプラス域です。

しかし、世界的に国債金利がフラット化している現状を考えると、その流れに反してスティープ化できるのかいささか疑問です。

また、国債の利回りが低いことには変わりなく、これで収益が”増大する”というのは、捕らぬ狸の皮算用と言わざるを得ません。

日銀が長期国債の買い入れを減少、停止することで国債利回りを上昇させるというロジックのようです。

仮に日本長期国債金利が上昇したとしても、外国からの買い入れが増え、結果市場原理として適正値におさまるのではないでしょうか。

事実、財務省が公表した日銀の外国人国債保有人数の推移は以下のようになっています。

今後もこの傾向は増大していくものと思われ、果たして日銀のコントロールが完全に及ぶか疑問であります。

※追記

日銀はイールドカーブのスティープ化について、「超長期債の購入を減額すれば、(超長期金利が)下がり過ぎるのを防止する効果はある」 と発言しています。

日銀がどこまで買い入れを抑えることが出来るかは要注目と言えます。

しかし、金利が上がれば安全資産の日本国債の需要が高まるため、日銀の思惑通りになるかは疑問です。

参考リンク:日銀、イールドカーブのスティープ化へ本腰/ロイター通信

※追々記

更に後日にブルームバーグから興味深い記事が出ました。

インフレ目標達成のためには国債買い入れを増やす必要があり、長期金利上昇の為には国債買い入れ減少が必要であり、両立ができないという記事でした。

さらに、海外投資家から現在安全資産としての国債は人気があり、金利上昇しても海外投資家が放置するわけがないという、私と同じ主張です。

参考リンク:利下げと超長期金利の低下防止の両立困難、量拡大の公約が足かせ

【口座維持手数料導入】

日本の銀行の口座数は10億以上とも言われており、一人あたり、10口座保有している計算になります。

実際は大口機関が大量に保有しているのですが、現在この口座維持にマイナス金利の負担を転嫁するために、手数料を設ける話が出ています。

口座維持手数料は簡単に導入できるものではなく、レッドオーシャンと化した現在の日本の銀行数から考えると、反発は必至です。

あと、参照元の記事だと口座維持手数料一般化してるって言ってるけど、残高が少なかったら、とか別に特典があったりするんですよね。

日本のって何かあったかな……。

結論:マイナス金利で儲かるというのは幻想

マイナス金利のダメージ緩和政策を、日銀が行うのは間違いないです。

その為には長期国債買い入れ減少停止や、基礎残高などの拡大が考えられます。

しかし、国債の金利上昇は以前不透明な作戦であること、国際的に短長国債金利フラット化の流れから、日本国債も同じ流れになると考えられます。

口座維持手数料に関しては、私は導入するのは困難だと考えます。

海外で導入されているのは、一定の残高以下である(預けてるお金が少ないと)手数料が引かれるというシステムです。

仮に同様のシステムを日本各行が導入したとして、どれほどの利益になるでしょうか。

また、利用者の反発を考えればやはり困難だと考えます。

利ザヤ、手数料ビジネスからの脱却

金融機関は今後ビジネスの方針を改める必要があります。

現在国際的に金利低下をして経済刺激政策を行っています。

むろん、金利が上昇する可能性もありますが、少なくとも日本国内でその見通しは立ちません。

日本の金融株(銀行株)の今後の上昇は厳しいものであるというのが私見です。

少なくとも、マイナス金利で逆に儲けるというのは幻想であると言わざるを得なく、現に地銀の経営の厳しさはニュースで知る所です。

逆に今こそ投資時であるのか?

現在金利低下によって、金融株は割安に置かれています。

各国経済刺激の媒介としての銀行をそのまま金利低下によって潰すわけには行かないので、中央銀行は助ける政策をとるでしょう。

ただ、少なくとも今まで検討した内容から、日本の金融株は手を出すべきではないでしょう。

日銀および日本の影響を受けすぎます。

金融株を保有するならせめて外国株に……というのが個人的見解です。

ポートフォリオを偏在化させること無く金融株を保有しておくべきでしょう。

それではまた次回お会いしましょう!

※口座維持手数料について検討した記事もあります。

※みずほFGの検討記事もあります。買っちゃったけど若干後悔中です😱

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