サウジアラビア石油生産施設攻撃から見える世界のエネルギー事情

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先日、サウジアラムコの原油生産施設が、無人ドローンによる爆破攻撃を受け、一時サウジアラビアの生産数の半分が生産能力を停止するというニュースが起きました。

このニュースにより、一時期市場は混乱し、市場最大の原油価格の上がり幅を見せました。

その後にトランプ大統領の石油備蓄解放を承認するニュースや、サウジアラビアの石油生産能力回復を示唆する要人発言により高騰は落ち着きを見せました。

現在石油は供給過剰であるところ、逆に減産をしているはずが、ここまで市場が混乱し高騰したのは私の勉強不足でした。

今回はその件についてロイター通信がわかりやすくQ&Aの形で答えていましたので紹介します。

なぜサウジアラビア石油攻撃によって供給不安が起きたか?

A:サウジの原油生産量が半分になってしまっただけでなく、世界的な原油供給に大きな支障が生じた場合に利用できる生産余力が、ほぼ失われたからだ。

アングル:サウジ施設に攻撃、どうなる世界の原油供給と生産

重要なのは、生産”余力”という点です。

つまり、現在は原油安であるところ、世界的に生産を意図的に落としています。

しかしながら、石油施設というのは当然維持費が莫大にかかるので、ストップしたままということができません。

つまりほとんどの石油生産地点は、いつでも石油採掘を再開できるという予備的なものは無く、石油採掘再開に時間が非常にかかるのです。

国際エネルギー機関(IEA)の推計によると、今回の攻撃前の段階で、石油輸出国機構(OPEC)の持つ供給余力は、日量321万バレルだった。このうちサウジが227万バレルを占め、残りは約94万バレルしかない。(中略)これらの産油国はサウジの欠落分の一部を埋めようと増産するかもしれないが、十分な規模にはならないだろう。

石油を意図的に減産し、いつでも再開できる”供給余力”のそのほとんどがサウジアラビアであることが、IEAの推計から明らかにされています。

つまり、OPECにおける供給余力のほとんどはサウジアラビアが有しており、そのサウジアラビアの生産拠点が攻撃されたことによって、OPECの供給余力は無くなった(むしろ拠点攻撃でマイナス)となったと言えます。

他の石油生産国の余力はどうか?

特にイラン、ベネズエラ、ロシア、アメリカなどのOPEC以外の国の石油生産余力が気になります。

記事によると、

イラン:米国の経済制裁により輸出ができない。また、サウジ攻撃の背後にはイランがあると見られ、制裁緩和は無い。

ベネズエラ:同じく米国の経済制裁の対象となっており、かつ近年生産量は減少傾向にあるため余力は期待できない

ロシア:現在生産能力の限界近くであり、OPEC以外を集めても10~15万バレル。

ということであった。

そうなると、シェール革命で一大エネルギー大国となった米国次第ということになります。

シェールオイルは従来の石油と比べて生産開始にすぐに動くことが出来ると言われ、私が原油価格のトレンド変更にまでは至らないと判断した要因の一つがシェールオイルでした。

サウジの生産停止が長期化し、原油価格が大幅に上がるようなら、シェール業者は増産するだろう。ただ、米国の港湾設備の稼働率が既に100%近くに達しているため、増産しても輸出量は制約を受ける。

シェールオイルの港湾設備(輸出向けの採掘設備)は既に稼働率が100%であるから、増産してもそれは世界の石油需要を満たすのは難しいということになります。

輸出をするには、海上を経由する必要があるため、米国も供給能力という点では制約があるとのことでした。

今後の動向

中国、サウジアラビア、米国はそれぞれ数億バレルの石油貯蔵がありますので、価格高騰を抑えるための供給に転じることは可能です。

ただし、それも限界があるので、サウジアラビアの生産能力が引き続き停止に追い込まれると、価格は不安定になるとのことでした。

ただ、原油価格が上昇すると、シェールオイルは採算がとれるようになるので、運搬コストをとっても輸出に転じる可能性はありますが、そこまでになってる時点で原油価格は高騰してますね……。

現状サウジアラビアの生産能力は復旧しはじめており、破壊された5割の生産能力の内、半分が復活したというニュースが入っています(2019/09/18時点)。

今回の件で一番市場に与えたインパクトを与えています。

それは世界の供給余力の大半を担うサウジアラビアの、拠点攻撃による供給停止リスクです。

私は長期的にエネルギー需要における石油の割合は減少するとしても、なくなることはないと考え、エネルギーセクターは持続永続性があると考えていました。

しかし、新たにエネルギーセクターにおける供給停止リスクが付加されたことは、今後の株価の変動など関連事項への影響に注目を集めそうです。

それではまた次回お会いしましょう!

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