【T】AT&T銘柄分析-米国の通信、メディア大手の連続増配35年の高配当銘柄-

銘柄分析

コロナ相場によって大幅に株価を下落させ、現在配当利回りは7%を超えます。通信事業セクターということを考えると、コロナの影響を大きくは受けないことから、長期的にはかなり買いの価格になっています。

配当利回りが高いということはそれだけリスクもあるという事になります。インカム投資家としては、配当が維持できるかが気になるところですよね。

基本情報(ティッカー、配当利回り、PER、ROE)

社名:AT&T

ティッカー:T

セクター:コミュニケーション・サービス

S&P格付け:BBB

PER:12.26(2020/4/4時点)

ROE:15.7445(2020/4/4時点)

株価:$27.46(2020/4/4時点)

配当利回り:約7.23%(2020/4/4時点)

権利落ち日:1/9、4/9、7/9、10/9

配当支払日:2、5,8、11月(例年各月1日)

売上世界一位、売上の8割以上が米国

通信インフラ系企業では、2020年4月現在、米国内時価総額2位です。

売上は世界一位で、その事をもって世界一の通信企業です!って誇らしげにHPに書いています。

下にちっちゃく「1 売上による」って書いてます、でもLargest communications campanyじゃ時価総額No1っぽいですよね。

事業内容は

①通信事業(84.7%)

②メディア事業(11.1%)

③広告事業(1%)

と通信事業の割合が非常に高いです。

今後も同社の事業のメインは通信インフラ事業で、それをサポートする形でメディアや広告事業という形となると思われます。

営業利益は今後伸び悩むと思われますが、一方で通信事業は需要が減ることはないのでこの点においてディフェンシブな要素を有しています。

売上のほとんどを米国が占めています。これは通信事業が収入の大半であり、米国向けサービスであることが原因です。

南米向けにもサービスをしていますが、全体から見れば5%しか無いです。

5G関連

現在無線における規格が4G(LTE)回線から、5G次世代回線へ移行する兆しがあります。

同社も5Gに関しては投資をすることを投資家向けのページで宣言しています。

AT&Tは2019年8月に、ニューヨークの一部で5G回線サービスを試験的に提供しており、既にサービス展開一歩手前まで来ています。

この点は同業他社であるベライゾンやスプリントもサービス提供を宣言していますので、同業多種との同じパイの取り合いになるかと思います。

5G関連は、今後5G技術を利用した新事業、新技術の展開と共に需要が伸びていくと考えられます。

そのため、AT&TやVerizonなどの通信事業者は新事業へ柔軟な対応をすることが求められていくでしょう。

株価チャート

ここ10年近くのチャートです。

リーマンショック以降$20~40を推移しています。

2015年以降でみると、タイム・ワーナーなど買収によって債務を引き受けしているところから、先行き不安に更に債務不安から株価が下がっていっています。

最近安定して返済している状況が見られるところから、安心感から株価が上昇していっています。

25ドルまで下がるとリーマンショックまで価格を戻します。

 

通信事業は現在シェアの奪い合いです。

シェア低下や、買収事業の不調などが続けば、今後株価を下げていくでしょう。

通信事業自体は参入障壁が高いため、他のセクターよりは安心してみることが出来ますね。

財務諸表

売上高、純利益、フリーCF、営業CFマージン

株価の割に財務諸表上は優秀ですね、PERが割安基準にありますが、同業種のVerizonも他のセクターと比べて低いので、通信インフラ企業特有なのでしょう。

伸びる売上高

2015年に衛星放送最大手ディレクTV買収、2018年タイム・ワーナー買収とメディア関連の企業を買収することで売上高を伸ばしています。

事業拡大よりは、買収による企業の巨大化による売上増ですので、そこまで評価をするものではないと思います。

今後5G関連で基幹事業の通信インフラ需要拡大で売上高を伸ばすことが最も期待するところでしょうか。

メディア・広告事業の買収を進めており、通信・メディアコンテンツ・広告の三本柱による事業展開という戦略です。

営業CFマージンは高く維持

価格支配力、もしくは資金化効率の指標である営業CFマージンは非常に良い数字で、25%以上をほぼ維持できています。

これは、通信というインフラ的要素を持つ事業特有で、通信セクターでは高く出る傾向にあります。

事実ベライゾンも営業CFマージンは同じで、価格支配力が高いことが伺えます。長期ホールド向きですね。

フリーCFはほぼプラス

マイナスの年は、例年より多く投資をしている年ですね。

ほぼプラスで大きく投資をする場合にマイナスになると認識する程度で良いでしょう。

現金が無い!という状況は現状想定されないと思います。

なお、NCF(CF純利益)は以下のようになっています。

フリーCFにさらに財務CFを合わせたNCFは、基本的にプラマイゼロを推移していました。

ワーナーメディアを買収する2017~2018年については大きく上下に偏っています。総じて現金不足にはなっていなさそうな動きですね。

EBITDA、同マージン

減価償却、税金等の経費を差し引く前の利益をEBITDA、売上におけるEBITDAの割合をEBITDAマージンと呼びます。

今回インフラ的、設備的な要素が多い通信事業者ですので、減価償却や税金などを除いた真の収益を可視化するためグラフにしました。

2018年はタイム・ワーナー買収の影響が大きいでしょうが、2019年も売上を伸ばしています。かなり好感が持てる動きです。

2015年も買収によって底上げされています。

EBITDAマージンは直近5年で見ると右肩上がりです。35%以上を守ってくれると大変安心してみれます。収益力がほんの少し上昇してるようにみえますね。

収益力増大は見込めないでしょうが、大きく下がり続けていなければ、問題ないと考えます。

債務の安全性(CR:流動負債比率、DER:負債資本倍率)

DERは1をほぼ下回る

ただし、増加傾向にあります。

しかし、依然1は下回っているので、負債資本倍率は安定的と言えます。

S&Pではこの指標が重視されるそうですが、買収などで債務が大きくなっているため、格付けはAランクではなくBランクに位置しているのでしょう。

ワーナーメディアを買収した2018年から低下傾向。

DERが低下した理由は、基本的に後述の通り発行済株式総数増加が原因でしょう。

CRはちょっと心配

流動負債比率は流動資産÷流動負債で計算されます。

流動負債比率における”流動”とは、1年以内という意味で、1年以内に現金化出来る資産と1年以内に返済すべき債務の割合です。

こちらも1を下回っていますね2以上が良い数字、最低1を上回って欲しい所。

タイム・ワーナー買収した2018年から2019年は大して変わってないので、そこは安心材料でしょうか。

債務残高

総負債はどんどん右肩上がりになっていっています。

買収によって負債が増えていっていますので、このように債務が増えていっている点がAT&Tの不安点です。

一方直近は高まる借入金が減少傾向、つまり返済が好調であることが決算上示されています。

楽天証券作成

通信事業が利益の大半であることから、急激に利益が伸びることも、落ちることも無いと言えます。

したがって、安定的なフリーキャッシュフローを創出することが出来ると考えられるので、債務の返済に関しては見通しは楽観的になっても良いと思います。

ただし、スプリントとTモバイルが合併したことで、引き続き通信シェアを維持出来るかが問題点でしょう。

発行済株式総数

2014年以降は増加気味ですね。

2015年、2018年はフリーCFがマイナスになるくらい投資を行っていましたので、お金が必要だったことが分かります。

自社株買いにまで株主還元に積極的であるとは言えませんね。

債務不安と発行済株式総数の増加から株価が伸びることは難しいでしょう。

株主還元は次の項目の配当で頑張るということでしょう。

配当金推移、配当性向(連続増配35年)

連続増配35年ですので、右肩上がりのグラフです。長らく0.04$ずつの増配となっています。

増配金額、増配率はそこまで期待できません。

EPSがマイナスでもきっちり増配しておりますので、連続増配への信頼感を抱くことができそうです。

【配当性向】

配当性向は中々暴れ気味なグラフですね。

100%を超えている年が何年かあります。

増配率が長らく2%程度であることを考えると、配当を出すこと自体は結構苦しいのかも知れません。

ただし、配当性向が100%未満や、50%台の年もあったりするので、平均するとまだ余力があるように思えます。

【配当利回り推移】

配当利回りはおおむね5~6%を推移しています。

2018年末の7%超えは流石に美味しい利回りですね、コロナショックでそれを更に超えてきましたが。

配当利回り7%の相場は非常に乗りたかった場面になります。

7%は中々無いとは言え、6%を超えたら”買い”の目安として見てもいいでしょう。

ちなみにFCFPS(1株あたりのフリーキャッシュフロー)ベースの配当性向は以下のようになっています。

配当性向は通常、配当金/EPSで算出されますが、最近含み損まで決算上の営業利益に反映されてしまう決算ルールになったことから、配当金/FCFPSで算出する配当性向(FCFPS)を見るようにしました。

これをみると、EPS配当性向と異なり、安定した水準であることがわかります。

総括

低PERは、買収した事業のコスト負担や債務不安から株価が低下していることが理由

通信インフラであるから急激に売上を落とすことはないディフェンシブ性のある銘柄

PERが低い今こそ買いなのかもしれません。

というのも、通信需要が下がるというのは考えにくいことと、高い営業CFマージンを有しているからです。

通信事業は契約数の奪い合いから、本来そのような自由市場であれば価格調整圧力により、営業CFマージンは低くなります。

しかしそれが高い営業CFマージンであるということは、効率よく資金化しているか、価格支配力が及んでいると読み取れます。

自由市場というよりかは通信事業は需要の奪い合いであるものの寡占市場であると読み取れます。

したがって、急激な契約数の低下等が起こる可能性は低く、債務返済に関してある程度見通しが断つというのが私の見解です。

同業種のベライゾン同様売上の伸びは今後見通しが難しいです。

しかし5G技術の恩恵で、新たな事業が見えるという可能性はありますので、特に低PERである現時点でAT&Tの株を保有しておくのはアリではないかと考えます。

タイム・ワーナー買収によって、AT&Tはメディア事業を保有しました。

通信インフラとメディア事業のシナジー効果がどれほどかは未知数であり、かつ5Gなど次世代通信技術による事業展開の展望も不明です。

しかし、今以上に下がるという未来は可能性としては契約数が徐々に減っていくというシナリオ以外は無いのではないかと考えます。

 

コロナショックで不要不急の外出が差し支える中、人々が繋がるためにはオンライン上である必要があります。

それを考えると、通信事業セクターはディフェンシブな銘柄の一つと言って良いと思います。

ここまで高配当なら買っていいと思うんですが、やはり負債が株価の足かせのようですね。

折を見て少しずつ買い増しをしていこうと私は考えています!

それではまた次回お会いしましょう!

※同じく米国通信大手企業のベライゾンの分析記事はこちらです。

また、ベライゾンとの銘柄比較記事も上げています。

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