【MO】アルトリア銘柄分析-たばこ販売地域100%米国の超高配当たばこ株-

銘柄分析

2019年の通年データを反映させました。

高配当銘柄として有名なたばこ株ですが、その中でも配当の高さが光るアルトリアの銘柄分析です。

世界的に健康懸念から売上を下げているたばこですが、果たして今後の展望はいかがでしょうか。

個人的にはここまで高配当であれば”買い”のスタンスです。

基本情報

社名:Altria Group

ティッカー:MO

セクター:生活必需品

PER:28.4(2020/05/14時点)

ROE:58.032(2020/05/14時点)

株価:36.35(2020/05/14時点)

配当利回り:9.31%(2020/05/14時点)

S&P格付け:BBB

配当権利落ち日:3,6,9,12月(3、6,9月は11~13日、12月は20~24日)

配当支払日:4,7,10,1月(各10日が多いが必ずではない)

2018年電子たばこメーカー「JUUL」に128億ドル投資

無煙タバコとして次世代式のたばことして注目を近年浴びています。

電子たばこのJUULの株式の35%にあたる株を128億ドル投資し、取得しました。

電子たばこは規制リスク、健康リスクなどの懸念が拭えず、未だその安全性に疑問があります。

アルトリアの主力商品はマールボロですが、紙巻たばこの売上は減少傾向です。

いずれJUULを傘下に収めることを検討しつつ、電子たばこメーカーへの投資を行っています。

※電子たばこJUULとアルトリアに関しての健康リスクを検討した記事はこちらです。

JUULについては、現在苦境ですね。

2020年3月に、JUULは130億ドルの評価額と言われています。

これは、アルトリアが上記の通り128億ドルでJUULの35%の株式を買い付けましたが、それと同額という悲しい結果になってしまっています。

2019年のEPSはマイナスになってしまっていますが、これはJUULの評価損が理由になります。

18億ドルでクロノス買収

JUULへの128億ドルへの投資とほぼ同じタイミングで、大麻企業である「クロノス」の買収をしました。

どちらも嗜好品としての商品であるたばこ及び大麻ですが、近年大麻市場は合法化から急速に拡大しています。

アルトリア・グループとしては、たばこ以外への事業拡大として、かつ同じ嗜好品である大麻市場へ手を伸ばしたい意向です。

無論、今後これら嗜好品市場がどの様になるかは不透明でありますが、アルトリアは新たな挑戦に至ったと言えます。

フィリップ・モリスとの合併の検討

先日、アルトリアとフィリップ・モリスの合併の検討のニュースがありました。

米たばこメーカーのフィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)と米アルトリア・グループの統合が実現した場合、次世代たばこ製品の海外展開強化を目指す日本たばこ産業(JT)にとって煙たい存在となりそうだ。

JTの加熱式たばこ事業に暗雲-PMIとアルトリアの統合協議で

そもそもフィリップ・モリスはアルトリアから国際たばこ部門をスピンアウトした企業ですので、元鞘に収まるだけなのですが、フィリップ・モリスの株価は急落しました。

これは、米国内の訴訟リスクに対する対策として、国際たばこ部門を切り離した経緯が理由です。

すなわち、フィリップ・モリスに米国内訴訟リスクを負う可能性が生じたため、株価が急落しました。

逆に、アルトリアは合併することで訴訟リスク軽減効果を得るため株価が一時上昇しました(その後結局落ちたけど)。

株価チャート

2017年を最高値として、その後減少傾向にあります。

世界的健康懸念から、近年紙巻たばこの販売本数が目に見えて減少していっています。

また、訴訟リスクが顕在化しているところから、株価が下落傾向にあります。

EGS投資という観点からも、健康懸念から避けられてしまう銘柄ですね。

逆ESG銘柄とでも呼ばれるでしょうか、今後常に割安に置かれてしまいそうです。

財務諸表

2008年にクラフトフーヅをスピンアウトしているので、2009年以降の財務諸表を見ていきます。

売上は横ばい

たばこの販売数が減少するなか、売上数が横ばいになっているのは、価格を上げることで対処しているからです。

依存性の高いたばこ市場であるからこそ出来る技ですが、いつまでもこの作戦が使えるのか?というのは疑問があります。

現状売上高は横ばいですが、いずれ価格上昇では吸収しきれないほど販売本数が減るのではないかとい疑念があります。

それゆえ、買収に力を入れている事がわかります。

営業CFマージン

横ばいの売上高に対して、営業CFが増えているのでCFマージンが上昇しているようにみえます。

営業CFマージンは近年は安定せず大きく増えたり減ったりしているので、今後の動向に要注目。

ただ、売上で底上げした営業CFというよりかは、別のお金を計上している可能性が……?

純利益>営業CF

2016年はSABミラー株売却、2017年は税制改革によって純利益が高くなっていることから、営業CFより純利益が大きくなっています。

ちょくちょく純利益>営業CFになっているのが気になります。

考えられるのが、たばこの販売数減少による在庫の増加でしょうか。

資産(在庫)はあるが、お金が入ってこない状態としてはこれが考えられます。

いずれにせよ、少し気になるポイントです、粉飾決算とまでは言いませんが。

2019年は久しぶりに純利益マイナスとなりました。これは、JUULの評価損が理由ですね。

フリーCFの強靭さ

このグラフを見て驚くべきなのが、売上から作るフリーCFの高さです。

2018年は投資CFが大きくマイナスを計上した結果、フリーCFも大きくマイナスになりましたが、これはJUULへの投資の結果です。

電子たばこへの健康リスクが顕在化してきましたが、一方で紙巻たばこより安全という考えもあります。

いずれにせよ、電子たばこ、大麻の2つのキーワードはアルトリアやたばこ業界を語る上で外せないものになります。

EBITDA、EBITDAマージン 、総負債、財務CF

EBITDA、同マージン

安定して右肩上がりの推移しています。

2016,2017年の純利益のグラフが変な数字になっていましたが、税収や減価償却などを省いた収益力はむしろ右肩上がりです。

EBITDAマージンも右肩上がりなのが驚異的で、コストを下げて売上を維持するか、コストを維持して売上を上げねば上がらない数字です。

アルトリアの場合明らかにコストを低下させている事がわかります。

効率的な経営、という評価ができそうです。

総負債は2018年に上がったが、それまでは減少傾向

デコボコなグラフを描きながら右下がりでした。

JUUL投資によって巨額の負債新たに計上しましたが、以前と同じく返済をしていくと思われます。

財務CFが安定してマイナスなのは好印象ですね。

債務の安全性(CR:流動負債比率、DER:負債資本倍率)

DERは自社株買い&負債上昇の影響でめちゃくちゃ上昇しましたね。もともとアルトリアは上図の様に数値の変動が激しいです。

JUUL買収によって、流動負債が大幅に増加しましたね。

2018年にJUUL買収によって極端に落ちたCRは、2019年に多少は持ち直しました。CRは2以上が財務上優秀、1以上が安定といった感じですが、米国株の多くは1を下回ることが多いですね。

それにしてもアルトリアは低いほうだとは思います(BTIは0.7程度、PMは1程度といったところ)。

S&P格付けはDERを重視しますので、もしかしたらさらに下がるのかな。

発行済株式総数

かなり意外でした、配当利回りが苦しいのは理解していましたが、発行済株式総数は一気に減らしていっています。

アルトリアとしては株価が安い今こそ自社株買いに走るチャンスです。

ただ、株価が上昇していた、2010年~2017年でもきっちり自社株買いをしていたので、株主還元姿勢がここに見て取れる気がします。

今後も同様に自社株買いを行っていくのであれば、アルトリアの株価には期待が出来るところではあります。

配当金推移、配当性向 (連続増配50年)

スピンアウトによって配当金推移が複雑になっていたので、2009年より。

このグラフで美しい右肩上がりなのもそうなのですが、実は気になる点としては、増配率です。

普通連続増配を記録している会社というのは、その年数を意識するあまり2%程度の増配率で抑えている会社が多いです。

しかし、アルトリアは10%近くの増配率を記録しています。

また、配当性向は一律80%を目安に推移しており、かなり安定的かつ株主還元が出来ている会社だと見えます。

 

EPSについては、2019年はJUULの評価損が大きな影響を与えて「-0.7ドル」でした。JUULの評価損益などイレギュラーな損益を除外した「Adjusted Diluted EPS」は4.22ドルとのこと。

2019年通年決算

4.22ドルベースのEPSの換算だと、配当性向は78%となります。

実際、FCFPSベースでの配当性向は80.758%ですので、増配余力はまだ残されていると見ていいでしょう。

総括

配当利回りはリスクでありながら、魅力的な銘柄であると思います。

ただし、この株をホールドするのは、ある意味冒険的であると言えます。記事の通り、アルトリアは紙巻たばこへの依存の脱却を図っており、大麻・電子タバコがそれにあたります。

タバコの販売数は減っていますが短期的には、アルトリアは値上げによって売上高を維持することが出来るでしょう。

しかし、インフレ率を考慮したとしても、かなり無理があることは否めません。

電子たばこの利用者推移は以下のようなグラフになっています。

Chart showing the number of vapers globally from 2011 to 2018

つまり、たばこ等の嗜好品自体に需要はあるのです。

紙巻たばこから比較的害のない電子たばこへユーザーが移っていることがその証左でしょう。

今後、アルトリアは大麻市場および電子たばこへシフトを考えています。

訴訟リスクなどを考えると、全力での投資は到底出来ない銘柄です。

2020年にコロナウイルスが世界的に大流行しましたが、喫煙者が重症化しやすいという話も出ており、健康懸念からの販売本数は減っていく可能性があります。

しかし、ポートフォリオの極一部を担って貰うには十分な配当利回りです。

また、急激な売上減少が無い事を考えれば、ホールドするのに向いている株だと私は感じました。

増配率については、配当性向をみる限り今までのような大きい増配はせずに漸進的増配になっていくものと思われます。

 

それではまた次回お会いしましょう。

 

※関連記事です

アルトリアの2019年第4四半期決算です。JUULの評価損がとにかく決算上重しとなっています。

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